”生きづらい”ままとりあえず生きる

【7月26日を忘れない】④映画「月」を観て考える

2025年07月25日 10:45

津久井やまゆり園の事件をモデルにしたと言われる映画「月」(原作:辺見庸著小説「月」2017年、映画:石井裕也監督・脚本)


私も施設職員として働く経験がなかったら、知らなかったことが沢山あったと思います。

施設が作られる目的には両極端な2つ理由があります。
積極的理由:必要とする人が自ら利用することを欲してつくる

消極的理由:他者が必要とするために、特定の対象者を利用者にする目的でつくる


重度障害者施設は後者です。


施設の実情をよく知らず一方的に批判した人で、利用者の「意思決定支援」「地域移行支援」を声高に叫ぶ人はいました。けれども、実際に積極的に関わった人はどれくらいいたのでしょう。


利用者の生活の場が奪われ空調が十分に効かない体育館に身を寄せながら、被害を受けた園の職員の人たちはその難しい課題に取り組んでいました。
複雑で甚大なダメージを受けながら、そうした取り組みを進めていくのは並大抵のことではなかったと思います。

「さとくん」の凶悪で卑劣な犯罪行為と「施設職員だった時期がある」ことを結びつけたがる人は、こうした現実をどこまで知っているのか、甚だ疑問です。

私たちは現実を知らなければ知らないほど、実際とは異なる論調の中に“真の理由”を求め、納得したつもりになりがちです。

意識して現実を知ろうとしなければ、偏った・間違った認識に簡単に陥ります。

映画はフィクションであり、事実をありのままに表現するものではありません。
映画を観ることで社会課題に目を向ける人が増えてほしい。
そこに留まらず「事実はどうだったのか?」を調べてみてほしい。

できればその先で「この課題にどう向き合うのか?」を考えてほしい。
9年経った今もそう思い続けています。



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2025年①-④




写真は「共に生きる」の 書家・金澤翔子氏による揮毫 厚木市役所入口に展示